ドローン規制法(改正航空法)の内容と問われ続ける知識とモラル
今年なにかとニュースを騒がせたドローン。
これらの事件を受け、いよいよ12月10日にドローン規制法(正式名称:改正航空法)が施行される。まずはその内容を確認していこう。以下は国土交通省のHPで案内されている内容である。
(1)無人航空機の飛行にあたり許可を必要とする空域
以下の空域においては、国土交通大臣の許可を受けなければ、無人航空機を 飛行させてはならないこととする。
[1] 空港周辺など、航空機の航行の安全に影響を及ぼすおそれがある空域
[2] 人又は家屋の密集している地域の上空(2)無人航空機の飛行の方法
無人航空機を飛行させる際は、国土交通大臣の承認を受けた場合を除いて、以下の方法により飛行させなければならないこととする。
[1] 日中において飛行させること
[2] 周囲の状況を目視により常時監視すること
[3] 人又は物件との間に距離を保って飛行させること 等(3)その他
[1] 事故や災害時の公共機関等による捜索・救助等の場合は、(1)(2)を適用除外とする。
[2] (1)(2)に違反した場合には、罰金を科す。引用・転載元 国土交通省 - 航空法の一部を改正する法律案について
細々あるが内容としては、この法律改正は大きく以下の二つの理由に分かれると思う。
- 悪意を持った行為を抑制する。
- ドローンを落ちるものと前提し不慮の事故に備える。
これらはどちらも今年の事件を考慮してのものだというのがわかる。
1.に関してはテロなどの行為を未然に防ぐという点で皆が納得するだろう。問題は2.である。正直なところ、この落ちるものだという認識に個人差があったため、愛好者にはやや厳しく感じる法律改正に至ったということを重視しなければならない。
実は私もドローンを所有している。地元の自然、風景を今までにない視点から見てみたいと思ったためだ。以下は実際の撮影動画の一つである。
動画を見てお分かり頂けると思うが、私がドローンを飛ばす際はおおむね早朝。人がいる時間やその周囲はさける。世間の目の厳しさを感じるのもあるが、絶対に落ちないという保証がどこにもないからである。
皆がこういったリスクを考え、良識の範囲で使えばよいと思うのだが、やはりそうはいかなかった。その結果が今回の法律なので、しっかり受け止める必要があるだろう。
しかし、それでも最終的なモラルは使い手次第ということも感じている。
- 電波障害(ロスト):ドローンを操縦する為の電波は主に2.4GHz帯を使っているとされている。これは、WiFiでも使用している帯域なので、人口密集地では電波障害を起こしやすいというのが容易に予想できる。また、コントロール不能(ロスト)時に、GO HOME機能という飛ばした元の場所に自動復帰する機能があるものもあるが、これも上記の理由でうまく機能しない可能性があるのである。
- モーターとアンプの劣化、障害:一般的に出回っているドローンはクアッドコプターと呼ばれ、四つのモーターで飛行するものだ。このタイプは業務用で使われる六つや八つのモーターを使用したドローンに比べ、圧倒的に落ちやすいと言われる。その理由がモーターの数だ。4つの場合、一つのモーターの不備でほぼ墜落するという。また、そのモーターへ電流を供給するアンプも劣化があり、アンプによる電流供給不備が起これば当然、即座に墜落である。ラジコン愛好者によるとモーターとアンプいずれも、累計飛行時間約50時間ほどで寿命となる確率が高いらしいので注意が必要であるが、使用環境でもっと早い場合もあると言う。
- バッテリー切れ:ある程度値段が高い物ならば一定のバッテリー残量になると、GO HOME機能で自動帰還するが、先ほどの電波障害の件もある為、過信は禁物である。
- セットリング・ウィズ・パワー(ボルテックス・リング・ステート ):簡単に言うとドローンが降下する際、自らが生み出した下降風に巻き込まれ、揚力を失い操作不能になってしまう現象である。これを防ぐには垂直降下時の速度は上げない事、もしくは高い位置からの連続的な垂直降下は避ける事が重要になる。