糖尿病患者でも家族と安心して外食を楽しめる街!?その内容とは?

生活習慣病として、年々患者数が増加している糖尿病。

厚生労働省による「患者調査」によると、2014年の糖尿病患者数は316万6,000人。2011年調査では270万人だったので46万6,000人増。これはまだまだ伸びると言われている。

その為、食習慣の改善や運動指導について行政や医療側だけでなく、メディアなどで取り上げられる事も常になった。

これに伴い、糖尿病や健康を意識した食事について、ここ数年、栄養コントロールを明確にした飲食店が注目をあつめている。例えるなら以下のようなお店だ。

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このように外食でも健康を意識し、なおかつ美味しい食事を摂るという流れはできつつある。だが、これらは健康食専門のお店であり「健康食を摂りたい」という目的が明確な個人や団体が利用者の大半ではないだろうか。

それはもちろん健全なことなのだが、外食は家族や知人と行く機会も多いものである。そういった場合、健康食のお店を選択して行くことは、そう多くはないだろう。

と、なると普通の飲食店に行くことになるのだが、食事を共にするメンバーに糖尿病を患っている方がいた場合、食事量や内容の調整などについて事前予約が必須であったり、神経を使う事も多々あるのではないだろうか?

その点を考慮すると、街にある普通の飲食店で糖尿病患者向けの別メニューが出てきてもよいのでは?と思っていたが、現実的なことを考えると手間も多く、なかなか難しい事ではないかというのも頭にあった。

ところが、鹿児島県にある「いちき串木野市」が市をあげて「食と健康」をキーワードに、街の飲食店に糖尿病やその予備軍の為のメニューを展開しているという。

詳しく話を掘り下げると、いちき串木野市内の飲食店・弁当店・惣菜店等と市医師会、さらに県も連携し、糖尿病患者等に適した外食メニューの開発支援を行ったというのだ。

その結果、「EATde(いーとで)健康メニュー」という名称の元、市内飲食店15店舗にて以下の条件を満たした21メニュー(弁当含む)が提供され始めた。※平成27年12月31日現在

  • 1食あたりの総エネルギー量600kcal未満
  • 食塩含有量3g未満
  • 栄養のバランス(炭水化物エネルギー比おおむね50~60% 脂質エネルギー比おおむね20~25%)が整っている
  • 市内で生産された食材やご当地グルメメニューを使用した定食、ランチ又はコースメニュー

 ※引用元:糖尿病患者や糖尿病予備軍、肥満を気にしておられる方の予防・改善に!『EATde(いーとで)健康メニュー』を提供開始しました!

これは、時代に合った素晴らしい取り組みだと思う。

いちき串木野市では、糖尿病による10万人当たりの死亡者数や標準化死亡比が全国および鹿児島県対比で高いという問題があった。市民にこの意識を持たせ、糖尿病予防に繋げる効果はもちろん、糖尿病患者には、家族との外食が気軽にできなくなるというストレスも軽減できる。

また、飲食店には経済効果をもたらせるし、地元の一次産業の支援にもなる。健康面における地域コミュニティ形成の場として飲食店がなす役割も出てくるだろう。

私自身、実際に食してみたがボリュームも味も不満は残らなかった。食として十分楽しめるし、食を中心にお店の人との交流も楽しめた。

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※写真は、「創作料理 博」さんの まぐろ舵とり丼ライト

・総エネルギー量:597kcal
たんぱく質:29.0g
・脂質:14.6g
・炭水化物:82.9g
・食塩相当量:2.1g
・野菜の量:122.0

おそらく全国でも先進的な取り組みとなるだろうが、こういった産学(医)官連携による課題解決や自治体の取り組みは今後も増えていくだろう。

そういった意味ではいちき串木野市の「EATde(いーとで)健康メニュー」の今後の広がりや反響に目が離せないところだ。